「あと5分だけ眠らせてくれ」
 俺は理央の手から毛布をひったくると、ふたたび
それを引っかぶった。
「むふぅ。おやすみ」

「あーっもう、知らないんだから! 遅刻しても知
らないんだからね!」
 理央は毛布にくるまっている俺にクッションやら
座布団やらをひととおり投げつけると、出て行って
しまった。

 俺はもう少しだけ至福の時をむさぼろうと、ベッ
ドの中でもぞもぞと体勢を整え直した。

 …………。
 …………。
 …………。

 ん?
 ちょっと待てよ。
 そういやさっき、目覚ましが鳴ってなかったっけ?

 慌てて毛布を跳ね除け、目覚し時計をひっつかん
だ。
「げげっ、もうこんな時間かよ」
 猛ダッシュでも、間に合うかどうか怪しいな。

 とにかく着替えて――朝メシは抜きだ。
 俺は学校へと急いだ。

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