不意に校内放送が流れた。
『朝霧南さん、朝霧南さん、至急職員室まで来てく
ださい』
　うむ、とりあえず俺には関係ないようだな。

　階段を下る途中、
「きゃっ」
　資料を手にした女生徒とぶつかってしまった。
　１年生かな……。

「あ、悪りぃ……大丈夫か？」
「痛たぁ……もう、気を付けてくださいねっ」
　なんだよ、こっちは謝ってるのに、そんなに怒る
んじゃねーよ。
　と思ったが、今はとりあえず空きっ腹を満たすの
が優先だ。
　怒ってさえいなけりゃ、割といい感じの娘だった
かも知れないが――すぐに顔も忘れてしまった。

　さて、駅前のいつもの喫茶店に着くと、よりによっ
て閉まっていた。
　こんな時に限って臨時休業かよ……。
　ちぇ、コンビニで弁当でも買っていくか。

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