退屈な午後。
 無為に時間だけが過ぎていく。
 貴重な青春の季節が、ただただ下流に向かって流
れていくばかりだ。
 あー、つまんねー。

 てれてれと歩いて帰る途中、公園であさみの姿を
見かけた。
 笹川あさみ、俺のバイト先の花屋『苗』に住んで
る小学5年生だ。

「たか兄ちゃんっ」
「おっす、あさみ元気か」
「元気元気」
「ここで遊んでたのか?」

「まっさかぁー! あさみ公園でなんか遊ばないも
ん、子供じゃないんだから」
「そ、そうかあ?」

 と、
「あさみーっ、お前の番だぞー」
 向こうから男の子の呼ぶ声が聞こえた。
「あっ、行かなきゃ……それじゃあね、たか兄ちゃ
ん!」

 あさみは駆けて行った。やっぱり、クラスメイト
と(それも男ばっかり数人)遊んでいたのか。
 ……やれやれ。

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