ストーリー・舞台背景紹介


プロローグ

中学を卒業して、この春から高校生となる主人公・中垣祐。
しかし、その心は本命受験失敗と失恋で沈みかけていた。
そんな折、叔母からの電話をきっかけとして、
祐は数年振りに春山温泉へと向かい、叔母の経営する旅館『春雨』を訪れる。
バイトとして『春雨』に数週間滞在することになる祐。
従姉や幼馴染みとの再会、見知らぬ宿泊客との出会い……。
また、『春雨』に関わる謎の人物とは?

春風とさくら舞う中、祐は何を掴み取るのか。


舞台となる春山町について

〜春山温泉観光案内〜

 春山町、春山温泉街は、半島の南端部に連なる大春山・小春山のふたつの山から下った平地、
碧が浜に沿って東西方向に長くひらけた町である。

 大春山はかつての山伏の修験場として知られ、本来の春山温泉は、
この大春山の修験場の秘湯であったとする説もあるが、
真偽はさだかではない。
  現在の温泉街の元湯は小春山山頂付近の源泉から温泉街へと、
錦川沿いにパイプラインで引かれている。

 小春山と大春山の間にある高地には観光要所のひとつ、明智牧場がある。
明智牧場は自然の斜面地を利用した酪農牧場で、
20頭ほどの乳牛が飼育されており、各種乳製品の製造販売も行われている。

 新春山駅前ロータリーは近隣の交通の要所であり、
海岸沿いの国道や町内一帯を走る各社のバス路線の発着所となっている。
いくつかの大きな旅館・ホテルは直通の送迎バスを運用している。
 観光関連の店舗、みやげ物屋などは駅前に集中している。

 旧温泉街は、数十年前の最盛期と比べるとやや規模が縮小して、宿数は大小取り混ぜて30〜50程度である。小春山の源泉からの湯を錦川に沿ったパイプで流し、組合加盟の温泉で分配している。以前は平屋のいかにもな民宿が軒を連ねていたが、古宿の廃業や建て変わりが進み、今はコンクリ造りの旅館タイプの建物が多数を占める。
 旅館『春雨』は小春山中腹の雑木林を切り開いて作られた、湯治客用の長期滞在型民宿。創業は200年余前と言われ、地元でも老舗のひとつ。かつては文人俳人が好んで訪れ、ここから様々な作品が生み出された由緒ある宿である。
 当旅館は気取らず家庭的な雰囲気で、親身なサービスがモットーかつ売りである。
 建物は純和風で、木造・モルタル造の平屋建て。数度の移転と増改築を経ており、現在最も新しい建物は7代目にあたる。斜面地に沿って上から5代目(旧館)6代目(新館)の建物が客室棟として上下に並び、最下部となる7代目建物は食堂や従業員室、フロントなどとして機能している(正面玄関は7代目建物)。各建物は階段と渡り廊下で繋がれている。
 旅館周辺は自然林の雰囲気を大事にしつつ、控えめに庭や植え込みが配置されている。きちんと手入れが行き届いていて、四季折々の風景を楽しませる。
 旅館『春雨』の露天風呂は小春山中腹より春山町を一望出来る。
 春山温泉は、室町期に修験者が峠に湯治場を開いたのが起源とされ、江戸中期に村落ができたころから本格的に温泉として掘られた。泉質はナトリウム−塩化物泉(または重曹泉=炭酸水素塩泉)で透明。美容健康に効能のある「美人の湯」として知られる。
 なお『春雨』は春山温泉組合の使用するパイプラインには加入しておらず、源泉から独自の引泉経路を持っている。
 サンロード春山商店街はごく一般的な市民商店街。規模は小さく、ローカルのスーパーマーケットがひとつある他は、古くからの個人商店がほとんどである。土地柄からか、都市部に比べて生鮮品が充実している。
 春山商店街は観光地域からは少し離れているが、地元の雰囲気が味わえ、また隠れた名品に出会えるなど、一部旅行マニアにも好評である。
 海岸側、国道沿いに開発の進んだ新温泉街は大型のホテルが多く、なかでも最大の「桃源楼」は1000人超の集客数を誇る。
 しかし近年、都市圏と春山との間に新興の観光地が生まれた為、春山温泉街への客は減少しつつある。

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